卵の殻が割れるとき

1年にわたりこちらの方でブログを書いてきましたが、もとのBloggerに帰還することにしました。現在はこちら→http://ichiharu-bl.blogspot.jp/

バッド・ニュース報道への不安

:日本経済新聞

厚生労働省は27日、2009~12年に抗インフルエンザ薬の「リレンザ」を吸入した患者3人が、副作用とみられるアレルギー性ショックを起こし、うち1人が死亡していたと発表した。リレンザは年間推計170万人が使用している。

 リレンザ®(一般名ザナミビル)の使用に伴って、4年間で3人がアナフィラキシーショックを起こし、うち1人が亡くなったという記事。

 このような記事を書く場合には分母が大事なのは言うまでもないことで、これを記載していない読売の記事にはブクマでもツッコミが入ったりしているようですね。共同通信の記事を引用した日経や産経などには上記のように推計で年間170万人が使用しているとの一文が入っているようです。



 しかしながら、このようにある程度判断の材料となる数字は記載されていても、リスクを誤解する人たちは少なくないと思われます。書いてあるとおりに素直に読めればいいのですが、さらっと流し読みしたり、「医療界はバッド・ニュースを隠す」という先入観があると、

「死人が出る薬を170万人も使ってるの!?そりゃ出てこないだけで絶対もっと死んでるに違いない。こわいなあ!!」

と思ってしまったりもするわけです。


 今回は誘導の意図が見えるような記事ではないですが、不十分ではないかと思われる部分もあります。急を要することもないわけですから、リレンザを使用しない場合に比べてどうなのか、投与量はどうなのかなど、リスクを見積もる上でより現実的なデータを示してほしかったものです。今回は大事には至っていないようですが、より注意すべき事案が発生した場合に大丈夫かと言われると、やはり心配はあります。

 バッド・ニュースを報じる時こそ、それがどれだけの大きさのリスクであるのか、既存のリスクとの比較も含め、取り扱いには慎重を期したい(報道すること事態に慎重になれというわけではない)ものです。悪い知らせのニュアンスをどれだけ正確に理解してもらうことができるかという点は今後も科コミ、リスコミの大きな問題ということで、引き続きウォッチを続けていきたいと思います。