卵の殻が割れるとき

1年にわたりこちらの方でブログを書いてきましたが、もとのBloggerに帰還することにしました。現在はこちら→http://ichiharu-bl.blogspot.jp/

新星Janowicz(ヤノビッチ?)が大爆発!! 【選手紹介・Jerzy Janowicz】

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 忙しさのあまり本当に久々の更新になります。
私が他のことにあくせくしている間、パリマスターズは波乱どころか大津波の様相を呈していたようですね…。

 上位シードは軒並み敗退し、久々にトップ4を含まない決勝の顔合わせとなりました。次週にロンドンでの最終戦を控えて、無理したくないという要因もあったのでしょうが、マスターズの顔ぶれとしてはかなり異色のものとなってしまいました。少々物足りないと思う方もいるかも知れませんね。そんな中でもしっかり決勝まで勝ち上がり、初のマスターズ優勝を果たしたフェレールはさすがといったところ。

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 この時期になると選手の中にも疲労の蓄積がピークを迎えるもので、錦織をはじめとして、怪我に泣く選手、また集中力を保てなくなってくる選手というのも出てきます。ナダルなどがある意味典型的かと思うのですが、かねてより改善が求められている期間の長さ、大会の多さをさすがに見直してほしいと思うところです。ファンとしては大会数が減るのも期間が短くなるのも寂しくはあるのですが、そもそも選手あってのプロスポーツですからここは気持ちをぐっと堪えて、環境改善に力を貸したいですね。

 さて、今大会の一番のサプライズといえば、ポーランドの21歳Jerzy Janowicz(ヤノビッチ?愛称はイニシャルをとって「JJ」のよう)が予選から驚きの連勝で決勝まで勝ち上がってきたことです。なんとコールシュライバー、チリッチ、マレー、ティプサレビッチを倒しての決勝進出。マレーも動きが悪かったとはいえ、トップ4に勝ったのはやはり大きいです。

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喜びを身体いっぱいに表現するJanowicz

 ではJanowiczはどういった選手なのでしょうか?気になってYouTubeで動画を見てみると、これがかなりの長身。高身長ならではの高い打点から打ち下ろすサーブは理不尽さこそありませんが、ツアーレベルでも威力は十分です。調べてみると203cmあるとのことで、納得の高さ。でもその割には動きもいいですね。ハードコートですがオープンスタンスでスライドしたりと、リカバリーも早い。そして何より相手選手を苦しめていたのが、長い腕から放たれるフォアハンドのクロスです。独特の低いテイクバックから持ち上げるように打たれるので、コースが非常に読みにくそうですし、一発で相手を追い込めるだけの力はありそうですね。それと体型と顔つきからは意外なことに、かなり上手いのがドロップショット。連戦の中でも多用していましたが、全体的な配球の不思議さ?も相まって、相手は大変やりにくかったろうなと思います。

 ATP公式のPlaying Activityを見ると、今年はミュラーやベルロクに勝ったり、ウィンブルドン2回戦でもマイヤーにファイナルセット5-7の接戦を演じるなど、活躍の兆しはあったようです。年初220位台だったランキングも大会前には69位まで上げてきていました。それでもここに来てこれほどの好成績を残すとは本人も思っていなかったことでしょう。トップ4による安定的なツアー支配が続くここ数年の間、なかなか若手の台頭に恵まれて来なかった男子テニス界ですが、Janowiczはそれを覆す存在となるのでしょうか?

 彼のテニスには様々な意見があるようです。

「明らかな弱点がない点で他の若手有望株より期待できる」
「今回の爆発でそれきりだろう」

 実際のところは後にならないとわからないでしょうね。

 私としては、上記のようなここ数年の現状に終止符を打ってもらいたい気持ちはあるものの、今のところは彼のテニスがそこまでのクオリティを得るとは思っていません。

 特に武器であるフォアハンドが今後本当に通用するのかという点。ラオニッチが出てきた時も、私はイーブンなラリーの中から不意に飛び出す強烈なフォアには度肝を抜かれました。それに加え、ラオニッチにはツアー屈指のビッグサーブがあります。しかし彼をもってしても、いまだトップ10には入れていないのです。現在のフィジカル優位のテニスシーンでは、特にストロークにおいてはどんなにクオリティの高いショットを持っていても、使う局面が不適切なら結局ポイントに繋がらない。トップ10でさえ、丁寧にラリーをし、その中からチャンスを見つけていきます。そうしたクレバーさや我慢強さを兼ね備えていなければ、今後は研究もされていくでしょうし、安定して成績を残すことは難しいでしょう。

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今回の活躍の原動力となったフォアハンド。グリップは薄め。

 これまでに他の大会での大きな健闘がないことを加味すると、今後トップ20圏内の選手を倒すアップセットを複数回演じないことには、まだまだ期待はできない気がします。そして感覚的な表現で悪いのですが、個人的にあまり「大物感」を感じない、というのも理由の一つ。私見では、トップに定着するとしても2~3年先、ランキングや影響力としてはソダーリングと同じかそれより下、といったところではないかとみています。とはいえ一方でこの予想を覆してほしい気持ちがあることもまた事実なんですが…。結果がどう出るかはお楽しみということで、今後も彼のプレーに注目していきたいと思います。